以前、私は張瑞敏氏とハイアールについて、何も知らなかった。
2000年春、私と羅雪瑩は青島テレビ局に招かれ、青島へ来た。2日目に思いもよらずハイアールグループ最高経営責任者―CEOの張瑞敏氏が私達の要望に応え、会う事になった。初めてのハイアール工業ゾーン訪問で、広大な敷地、整然とした景観、随所に漂う濃厚な文化の息づかいに触れ、私達は新鮮さと驚きを感じた。張瑞敏氏とハイアールグループ総裁楊綿綿氏を訪ねた後、数日を費やし、ハイアール栄誉室、商品ショールーム、家電生産ライン、ハイアール創業の歴史を特集で紹介したテレビ番組などを見た…。それぞれを見学したに過ぎないが、知らず知らずのうちに突然巨大な衝撃波のようなものに襲われたような感覚になった。まるで砂漠を歩いていた人がオアシスを見つけ、聖地を目指していた人が浄土にたどりついたかのように、一筋の光が見えた。

こうした高い理想と信念の凝縮された精神は、私達を惹きつけてやまず、この不思議な場所から離れがたくした。この2年間に、私達は何度も張瑞敏氏と楊綿綿氏及び、数十名の上層部の方に、技術者と一般の職員を訪問し、合肥(ホーフェイ)工業ゾーン内の三つの工業エリアと数十の生産ラインを見学し、十数年分の「ハイアール人」報と関連記事を閲覧し、数十時間のハイアールテレビ番組を見て、ハイアール社の運動会に2度参加した…一歩ずつハイアールに歩み寄り、ハイアールを知るにつれ、私達は毎回強烈な感動と新たな刺激を受けるのだった。

一つの企業の末端からその頂上までを見て、私達はハイアールチームの兵士達に感動し、同時に指揮官である張瑞敏氏へもえりを正さずにはいられなかった。人として、何かしら勢いが無ければいけない。特に、私達の暮らす現代、理想と信念は特に貴重なものだ。さらに、張瑞敏氏が尊敬を受ける理由としては、個人的な理想や信念がすばらしいという点だけではない。なぜなら、個人が信念や情熱を抱くことはそれほど難しくないからだ。しかし、多くの人々が彼ひとりの信念に感銘を受け、希望を持って、一つの目標に向け皆で突き進んでいく。これは、並大抵のことではない。それを張瑞敏氏は成し遂げた。

ハイアールは大国の理想をいっぱいにのせた希望の船といえる。中華民族の優秀な一団が張瑞敏リーダーの下、民族の工業を躍進させるという大きな志を持って、17年間いかなる困難にも負けず、いかなる場合にも一生懸命に奮闘してきた。147万元の損失を抱えた零細企業から、世界的な売上額が600億にものぼる国際企業に発展した。世界の工業史においてもかつて無い奇跡である。