'08年の北京オリンピック、'10年の上海万博を前に驚異的な経済成長力で注目を集めている中国。ハイアール(Haier)は、そんな活気ある中国のみならずヨーロッパ・アメリカでも抜群の知名度を誇る家電メーカーです。先頃のアテネオリンピックでは選手村で使用するエアコン・システムをハイアールが落札しました。

本作はそのハイアール社のCEO(最高経営責任者)であるチャン・ルエミン(張瑞敏)の独創的な経営手腕により、倒産寸前だった青島の町工場が中国で初めて世界的ブランドを築いていく挑戦の物語です。改革解放政策による経済自由化の申し子ハイアールは'02年1月に三洋電機株式会社と提携しており、すでに日本進出を果たした稀な中国企業です。熱い情熱を抱き使命感に燃え、画期的な事業を実現させていくハイアール社員の真摯な姿勢は、私達日本人にも強く訴えかけてくるものがあります。

不況に喘ぐ日本企業の再生のヒントも込められた本作をドラマチックに描いたのは『古井戸』(87)、『變臉(へんめん)(95)で知られるウー・ティエンミン(呉 天明)監督。中国映画界の巨匠が、実話をもとに描いたハイアールの苦悩と挑戦のドキュメンタリー・ドラマです。