広汎性発達障害 / 自閉症

Pervasive Developmental Disorder / Autism

今日の日本において自閉症はいわゆる<発達障害>における<広汎性発達障害>の一つとして位置付けられる。発達障害とは脳機能障害のうち、一般的にその症状が低年齢において発現するものであるが、その原因は全般的にまだ解明されていない。中でも、言葉の発達の遅れはないがコミュニケーションの障害、対人関係・社会性の障害、パターン化した行動、興味・関心のかたより、不器用などを特徴とする<アスペルガー症候群>や、言葉の発達の遅れ、コミュニケーションの障害、対人関係・社会性の障害、パターン化した行動やこだわりを特徴とする<自閉症>を含む異なる幾つかの症状が<広汎性発達障害>と呼ばれる。
発達障害には他に<学習障害(LD)>や<注意欠陥性多動性障害(ADHD)>なども含まれ、上記の定義づけを基に支援対象を明確化したのが発達障害者支援法である。

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レオ・カナー(1894-1981)

Leo Kanner

オーストリアで生まれ、後にアメリカに移住したレオ・カナーはアメリカ児童精神科の第一人者とされる精神科医。「自閉症=autism」という言葉は1943年に発表されたカナーの論文「情緒的接触の自閉的障害」(”Autistic Disturbances of Affective Contact”)で初めて使用され、彼の研究は今日の自閉症研究の基礎と言われている。それまでは統合失調症として括られていた症状の子供達のうち、とりわけ孤独を好み、コミュニケーションや対人関係の障害、特定の興味への異常な没頭などの症状が見られた対象に焦点が当てられ、注目を集めた。

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ハンス・アスペルガー(1906-1980)

Hans Asperger

1944年、アスペルガー症候群の定義を著したオーストリア人の小児科医。
前年にレオ・カナーにより発表された「自閉症」の記述とは異なり、他者との共感能力を欠落するが言葉の遅れを伴わず、特定の興味ある事柄について極端に没頭するといった特徴を備えた上で、そうした興味の対象に関する知識の豊富さから彼らを「小さな教授たち」と呼ぶなど、ポジティブな捉え方をした。

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統合失調症

Schizophrenie

思考や行動、感情を統合する能力が低下すると共に、その経過中に幻覚や妄想、ひどくまとまりのない行動が特徴とされる精神疾患の一つ。明治以来、日本では「精神分裂病」と訳されていたが、病名が偏見を生むとして患者・家族団体による願いから、2002年に日本精神神経学会が現在の「統合失調症」に変更した。
映画『彼女の名はサビーヌ』で扱われている自閉症とは根本的に異なるものだが、今日でもなお原因究明と治療が困難な病である。

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発達障害者支援法(厚生労働省)

平成17年4月、日本の厚生労働省によって自閉症やアスペルガー症候群などの広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害などの発達障害を持つ人達を中心とした援助等に関して施行された法律。これまで福祉の対象として取り残されていた発達障害のある人が、成長する過程でそれぞれの年齢にあった適切な支援を地域で受けられる体制を整備すると同時に、発達障害が社会的に広く正確に理解されることを目的とする。日常生活に関する相談や発達支援、就労支援、普及啓発、研修などを行う<発達障害者支援センター>がほとんどの都道府県レベルで開設されている。

厚生労働省ホームページ(発達障害者支援施策)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/hattatsu/index.html

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特別支援教育(文部科学省)

これまでの特殊教育の対象の障害だけでなく、知的に遅れのない発達障害も含め、特別な支援を必要とする幼児児童生徒が対象とされた取り組み。平成19年4月に学校教育法に位置付けられ、全ての学校において障害のある生徒の支援の充実化が図られる事となった。障害のある生徒一人一人の教育的ニーズの把握や生活および学習上の困難改善・克服を目的に適切な指導および支援を行う。

文部科学省ホームページ(特別支援教育)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main.htm

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