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ペペ・ダンカート

1955年生まれ。1970年代に映画監督としてのキャリアをスタートさせ、1994年には監督作品『Short Brack Rider』でアカデミー賞を受賞、『Homegame』では2000年にNational German Film Award監督賞を受賞している。監督、脚本家としての活動の他に、ドイツ国内の映画学校で教鞭をとったり、ドキュメンタリー映画のアドバイザーやプロデューサーとしても活動の場を広げている。

Hell on Wheelsを撮影するにあたり、ただのスポーツ・フィルムにはしたくありませんでした。

私の興味はツアー中の選手の苦悩や敗北にありました。名誉と莫大な報酬を夢みて自己を犠牲にし、報われないかもしれないそのゴールに向け、何年もかけて肉体の限界まで挑戦し続ける意味は何なのか。ツアーで勝利するにはチームとして、また肉体的、精神的に何が必要とされるのか知りたかったのです。けれど一方で、勝利する可能性が疲労による降伏にとって変わられ、レースにかけた努力が報われなかったのだと確信した時、サイクリスト達はどうなるのでしょう? 勝者は全てを手にする…敗者には何も残らない(みな勝者が誰か知っていますが、敗者のことは知りません)。私は敗者の方に興味を持ったのです。

またツアーのマーケティングとその参加者という2つの側面を取り上げることによっても、このツアーの持つ意味を浮かび上がらせていきたいと思いました。

この映画を製作するのは、選手にとっても、そして私たちにフィルムクルーとっても時間がかかりました。フィルムクルーが選手達との間に信頼関係を築き、チームの仕組みを理解する必要があったからです。

ヨーロッパでは、ツール・ド・フランスはとても人気のあるスポーツです。
また、アームストロングのおかげで、アメリカにもその人気は広まっています。
世界中のみなさんが、この作品を、そしてツール・ド・フランスを楽しんでもらえたら幸いです。