解説/物語
伝説のレゲエ・ムービー『ロッカーズ』から30年 ラスタの思想を受け継ぐロード・ムービーが誕生!

二人のラスタマンが移動式レコードショップでレコードを売りながらジャマイカを横断していく。

「ラスタファリアン・カルチャーを映画にしたい」というかねてからの夢をアルゼンチン・ブエノスアイレス出身のハコビ監督が実現化した『ルーツ・タイム』。ジャマイカ、レゲエを題材にした映画は数あれど、この作品こそラスタのルーツを探り、ジャマイカのヴァイブスを伝える『ロッカーズ』以来の真の "ラスタファリアン・ムービー"である。ほとんどのシーンをボブ・マーリィが生まれた地として名高い小さな町、ナイン・マイルズで撮影。現地のラスタマンたちに受け入れられ、このようなピースフルな作品が生まれた。

主人公のひとり、ジャー・ブル(2005年に他界)はオーガスタス・パブロのプロダクションで活躍したベテランDJ。また、ラスタの賛美歌にあたるナイヤビンギ音楽を発展させたパーカッショニスト、カウント・オジーが率いていたグループ、ミスティック・レヴェレーション・オブ・ラスタファーライも登場!


西洋医学を信じないラスタが 伝説の薬草医ボンゴ・ヒューを探しに ジャマイカ横断の旅に出る

7月23日、ハイレ・セラシエ生誕の日。いつもの様にバブーとジャー・ブルはカラフルなおんぼろ車の移動式レコードショップでジャマイカの郊外をレコードを売り回っていた。ラジオからは人気DJファーマー・ルーツの番組"バビロン脱出"。ファーマー・ルーツは言う。
「今日は特別な日だ。ラスタならわかるだろ。ラスタマンはひとり残らず互いに結束せよ。今時は熟し、我々は自由だ。ルーツへと向かうのだ。アフリカへ」

バナナを一房、ギネップ一箱、グレープフルーツ2ダースをたいらげ、下痢ばかりしているバブーと、「猫を食った」「ピーター・トッシュん家に吸血コウモリが出た」と、本当か嘘かわからない話ばかりするジャー・ブル。子供やロバに行く手をはばまれたりしながらも、移動レコードショップはゆるゆると進む。
「さあさLP買いに来な。ラスタの移動レコードショップだよ。ジャマイカで一番のやつあるよ。」

そんな時、ラジオで話しているはずのファーマー・ルーツがヒッチハイクしているところに遭遇し、彼らの奇妙な旅が始まる。