ユー・リクウァイ監督 韓国 | 2004年 | 30分 | デジタルβ 三人三色

カラープラスティックの都市は大寒波となり、極端な気象条件によって人類は地表に生きることが出来なくなった。人っこ一人いない地表から50層目くらいの下に、秘密の簡易宿泊所がある。キリンは宿泊所の管理人だった。彼は孤児であり、彼が何処からやって来たのかを知るものはいなかった。人々は、彼がただビールの空き缶集めをして生計を立てているという理由だけで、彼のことをキリンと呼んでいた。この謎めいた若者は、孤独な日々を送っていた。ある日、ランランという美しい流浪の女性と出会うまでは・・・。

「私はこの映画を、サイレント映画へのオマージュのつもりで作りました。私にとってサイレント映画とは、映画制作の最も重要なレッスンでした。映画的言語とストーリー構成という観点において、サイレント映画には映画創作に関する殆ど全ての要素が含まれています。それらは映画のパイオニア的存在であり、映画撮影のあらゆる実験的を網羅しているのです。この短編映画を制作するチャンスを得、私はこの偉大な伝統を受け継ぎつつ、純粋で誠実な精神を持ってデジタル映像の可能性を探っていこうと思います。またこの短編は、私の一つ前の長編『All Tomorrow’s Parties』で探究していた私の撮影スタイルをある意味踏襲しているとも言えるでしょう。現実と虚構を弁証法的に構築する為、この作品は今の時代をパロディとして撮影しています。全てのものが馴染み深くて現代的ではありますが、その表現そのものは、ある意味、矛盾して隔たりのあるものとして作られることになります。」
監督監督監督


ナ・レン /チョウ・チスン/ア・ドゥン/シャオ・へ

監督・脚本・撮影・プロデューサー:ユー・リクァ/音楽:シャオ・へ /ダンサー達:北京ダンスアカデミー /助監督:ウー・ジェ/ロケ−ション・マネージャー:アー・ドゥン/サウンドデザイン:チャン・ヤン /録音:レン・ジャジャ/照明:ホウ・フェン/撮影助手:リゥ・シュヘ 、ティアン・リー/ビジュアルエフェクト:ザオ・シャオ・ドン/機材レンタル: シネレント北京、北京映画学校/ミキシング:ユースタジオ

使用デジタルカメラ:Sony 790 Digibeta/使用編集機材:Adobe Premiere 6.0
 
監督
1966年香港生まれ。ユー・リクウァイは、ベルギーのINSAS(国立映像芸術高等学校/Institut National Superieur des Arts de Spectacle)を卒業し、その後1996年ドキュメンタリー作品『Neon Goddesses』で、香港のインディペンデント短編映画賞を受賞。しかしながら彼は、監督としてではなく、撮影監督としてのキャリアを積んでいった。主な撮影作品にジャ・ジャン・クー監督『一瞬の夢』(1997年)、『プラットフォーム』(2000年)、『青の稲妻』(2002年)や、アン・ホイ監督の『Ordinary Heroes(1998年/日本未公開)』などがあり、批評家達より高い評価を得ている。『一瞬の夢』撮影後、初の長編映画『天上の恋歌』を、香港にあるアート関係の企業からの援助を得て制作。プロデューサーはスタンリー・クワン、主演俳優トニー・レオンで、1999年香港国際映画祭で、国際批評家賞を受賞。この作品は、コンペ外の作品としてカンヌ国際映画祭にも招待された。その後、しばらくは撮影監督としての仕事が続くが、二作目の『All Tomorrows' Parties』で再び監督としてカムバック。HDで撮影されたこの作品を、監督は自ら “光と影を描いた近未来についての詩と呼んでいる。この映画は、釜山国際映画祭の批評家によるセレクト部門で上映された。

1996『Neon Goddesses』/1999『天上の恋歌』(日本公開2001年)/2003『All Tomorrow's Parties』