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順不同・敬称略

ヒグチユウコ画家

隅々まで仄暗くうつくしく、この作品の映像はわたしのこころに焼き付いて離れません。

ヒグチユウコ

小島秀夫ゲームクリエイター

誰もが子供の頃に経験した“外の世界”に対する不安と妄想を、美しすぎる映像で追体験させてくれる。女性監督ならではの生理感覚で描く、メタ映画の進化形エヴォリューション

皆川博子小説家

深海の暗緑色が、不安の象徴としてすべてを覆う静謐な映像は、禁忌を無力化し、妖と醜をも取り込み融合した〈美〉は、醒めてもなお消えやらぬ悪夢のような一編の詩を、産む。

諏訪敦画家

内側に光を含んだ薄緑色は、映画の空気を支配していた。そして色相環の上で補色関係にある、強烈な赤色をまとったヒトデは、理由を告げられない治療を待つ少年たちの、不安のかたちを思わせる。この美しい夢は、すぐ隣にある見えない世界か。それとも僕たちが選択せざるを得ない、未来か。

津原泰水小説家

繰り返し夢に出てくる海岸の、不穏な懐かしさに憑かれてきた人たちは幸運なる哉。貴方はこの映画の中で遂に、景色の四方を存分に眺めて、自分の居そうな方向へと歩み出すことができる。

二階健映画監督・クリエイター

子供の頃 よく鼻血を出した
この映画が 音楽や台詞の力を殆ど借りなくとも
音楽的に雄弁に語るのは
きっと 子供にしか聴こえなかった周波数が
潜んでいるからかもしれない

小学校を高熱で休んだ日 天井の模様が悪魔に見えた
光のあたっていない部分に惹かれた あの頃‥‥
もう忘れていて 詳細には思い出せないビジョンを
大人になった自分から「録画しておいたよ」と見せられたようだ

内田春菊漫画家・作家

不思議な島に美しい母と息子たちだけが暮らす、というシチュエーションだけでもうどこか遠くへ旅したような気分に。古風で得体のしれない医療、信頼してたはずの母が変わっていく瞬間。自分が子どもだった頃の不安感が次々と湧き出て来る。この映画の怖さはひたすらスタイリッシュで美しい。

七戸優画家

透明度のやや低い海の様な蒼い村はデ・キリコの透視図法でできている。足元に不穏という粘膜で覆われた得体の知れない何かが蠢いている事を匂わせつつ物語は始まる。この映画を100%理解しようなどという野心は持たぬがよろしい。少年の見た美しい悪夢の海を漂えば良い。

売野機子漫画家

緑の餌をくれるママン。欠けた赤いヒトデ。白い看護婦、黒い夜、少しずつ進化する僕のからだ…。湿った悪夢への拒絶感が次第に、不謹慎な官能に変わる。

深緑野分小説家

生臭くてぶよぶよして温かい、この昏い何ものかは、きっとあなたも、心の奥底で密かに飼っているものだ。ほら、見て、怖くないわ――誘われるままに瞼を開いたら最後、元の世界には二度と戻れなくなり、海を見るたびに恐怖の美を思い出すだろう。

茂木清香漫画家

全てのシーンが詩的且つ絵画的で幻想的な世界でした。まるで無機質のように性を感じさせないシーンとグロテスクなほどに強烈に性を感じさせるシーンがあり、無菌室の中で柘榴をぶちまけた様な感覚を覚えました。

ケンゴマツモトTHE NOVEMBERS

あまりに美しいブルーとグリーンの悪夢。海音が奏でるドローンミュージック。私は、目を凝らさないと見えない曖昧で美しい光景を、謎めいた女たちが繰り広げる謎の行為を、甘美で残酷な手術のイメージを通じて純粋空間ともいうべき深海色の夢をそのとき初めて見た。

SHO ASAKAWAPLASTICZOOMS

恐ろしくなる程の映像美で魅せる、悪夢。黒い描写が、私の幼少期に見た悪夢と重なって、息を飲んだ。『あれは、なんだったんだろう』ふとした瞬間に、眼球と脳の間を通り過ぎていく。あの感覚。流石、ルシール・アザリロヴィック。

とんだ林蘭アーティスト

美しいと思う気持ちと、吐き気が同時に込み上げる。どうして性はひとつじゃないんだろう?

管啓次郎詩人・明治大学教授

ふしぎな海洋生物映画だ。ヒトがヒトであることをやめ、別の種になってゆく。
だが何という美しさ。体の一部を再生させるヒトデのようにして、少年は母になる。
パルテノジェネシス(単為生殖)の夢がもたらす、生命の新しいかたち。
けれどもそれが汚染による星の破局のせいだとしたら? 火山島が最後の希望だとしたら?