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遺伝子組み換え技術

遺伝子暗号を解析し、ある特定の遺伝子の働きを、別の遺伝子に挿入して新しい性質をもった生物を作り出す化学技術。作中では、遺伝子組み換え大豆の説明がある。モンサントはラウンドアップに耐性のある遺伝子を抽出し、それを金の粒子に付着させ遺伝子銃で大豆の遺伝子内に挿入する方法が紹介されている。

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FDA(Food and Drug Administration)

アメリカ食品医薬品局。食品と薬品の安全性を守るアメリカ政府機関。日本の厚生労働省に近い役割。

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ラウンドアップ

モンサントの主力の売上を誇る除草剤グリホサートの商品名。「生分解性で、環境に優しい」がキャッチコピーだが、過去に虚偽広告により、ニューヨーク(1996)とフランス(2007)で有罪判決を受けている。モンサントの社内研究でも、生分解は2%のみと結果が出ていたという。冒頭で二人の農家がラベル表記について話しているのがラウンドアップだ。世界でもっとも売れた除草剤。

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ラウンドアップ・耐性(レディ) 大豆

ラウンドアップとセットで売られるラウンドアップに耐性のある遺伝子組み換えの大豆。その安全性については、現在も賛否両論。日本でも、1996年にラウンドアップ・レディ大豆の輸入は認可された。健康、環境への安全性は立証されていない。近年はバイオ燃料へ原料として注目され、需要が高まっている。

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BT綿

殺虫剤を生成する遺伝子が組み込まれている綿花。1999年モンサント社はインド最大の種子企業マヒコを買収し、2001年、“ボルガード”という商品名の害虫抵抗性綿をインド政府に認可させた。それによって、綿生産量世界第3位のインド市場を独占することになる。作中では綿畑が広がるワランガル地区が登場する。“種をまくだけで あとは手間いらず”がうたい文句だが、実際は普通の綿と同様殺虫剤が必要。

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アメリカのGMOラベル表記運動について

アメリカでは、国民の90%が遺伝子組み換え食品の成分表記義務付けを希望しているにも関わらず、その表記はなかなか実現しなかった。GMO義務化のCMまでテレビで放映されていた。そして、多くの市民団体の働きかけによってカリフォルニア州で義務化される動きがある。市民団体が、同州の司法長官にGMO義務表示法案を市民投票するようかけあったのだ。2012年に行なわれるこの投票で、有権者の多くが「賛成」票を投じれば、アメリカで初めてGMO食品の表示が開始されることになる。

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遺伝子組み換え野菜・種子

1995年からの10年間でモンサントは世界の50の種子企業を買収し、遺伝子組み換え市場の90%を占めている。遺伝子組み換え作物の大豆、トウモロコシ、綿、小麦だけでなく、トマトやジャガイモなど野菜もある。遺伝子組み換え作物の作付面積は2011年で1億1430万達した。その70%がラウンドアップ耐性作物。アメリカ大陸を中心にアジア、オーストラリアへと拡大している。

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モンサント社の種子関連事業売上

モンサント社の2011年の総売上高は118億2200万ドル。 フォーチュン誌2012年版アメリカ企業500社番付でモンサント社は224位にランクイン。

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出典
■タネが危ない/野口勤/日本経済新聞/2011
■遺伝子組み換え企業の脅威/モンサント・ファイル /1999/『エコロジスト』誌編集部 (編集), The Ecologist (編集), アントニー・F.F. ボーイズ (翻訳), 安田 節子 (翻訳), 日本消費者連盟 (翻訳), 緑風出版
■自殺する種子/アグロバイオ企業が食を支配する/安田節子/平凡社新書/2009
■モンサント世界の農業を支配する多国籍企業〔仮題〕/マリー・モニク=ロバン/作品社/2012/発売予定
■資料協力/食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク

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