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ABOUT THE MOVIE

世界でも有数の人口密集都市である香港では、毎年地形図が変わるほどゴミの埋立地が増え社会問題に発展しています。消費者の衰えることのない購買意欲に加え、近隣の中国が他国から廃棄衣料などの廃棄物の輸入を禁止しているためです。

映画『リファッション』は、持続可能な社会を作ろうとする3人の香港の人びとの挑戦を記録したドキュメンタリーです。まずフォーカスを当てるのは、香港政府のイノベーション技術委員会から資金提供を受け組織する「香港繊維アパレル研究所(HKRITA)」のCEOエドウィン・ケーです。香港の繊維メーカーNOVETEXと共に廃棄衣料からテクノロジーにより水と薬品を使用せず糸にし、アップサイクルで新たな服によみがえらせることに挑戦します。 2人目は、子供服の古着を販売しネットワークを作る、サラ・ガーナーの挑戦。
3人目は香港では分別廃棄されていないペットボトルのリサイクルに挑戦するエリック・スイントンです。

このドキュメンタリー映画は社会を『reFashioned(改めよう)』というヒントを与えてくれる映画です。
CAST & STAFF
監督・プロデューサー:
ジョアンナ・バウワーズ
香港を拠点に活躍する監督、脚本家、プロデューサー。英国出身。
「私たちの世代は皆、ファストファッションがいかに問題であるかを認識していなかったので、ファストファッションを消費する世代の人々と同じ罪を背負っています。私たちは今、サステナビリティをより意識するようになり、ファッションブランドも同じように意識するようになりました。まず、何が問題で、どのような解決策があるのかを知ってもらいたいのです。私たちの映画を観た後、もしあなたが服の買い方や扱い方を見直すとしたら、それはとても大きなことです」
HKRITA
エドウィン・ケー
エドウィン・ケーは、2006 年に設立された香港繊維アパレル研究所(HKRITA)のCEO。2018年にH&M基金やNOVETEXと共同でG2G(Garment-To-Garment) 「衣類から衣類へのリサイクル・システム」を発表。水や薬品を使わずに廃棄衣料から新しい衣料を生み出すことに成功した。
RETYKLE
サラ・ガーナー
サラ・ガーナーは、ネット販売が中心で子供用の古着やおもちゃなどを、従来の数分の1の価格 (最大90%オフ) で販売している「RETYKLE」(リタイクル https://retykle.com)の創業者。
Vcycle
エリック・スウィントン
ペットボトルやプラごみの回収箱の設置と回収を行う組織「Vcycle」(Vサイクル https://www.vcycle.com.hk)の代表。低賃金での労働が問題視されていた、ゴミ回収の高齢者に段ボール回収の仕事を作り出し適切な給与を支払い雇用する取り組みも行っている。
COMMENT
あまりに大きな社会課題を目の当たりにすると、自らができることの小ささに、何をやっても無意味に思えてしまうことがある。
しかしこの映画は、未来を良き方向に変えていこうと奮闘する、勇気ある人々の営みを知らせてくれる。映画を見終えると、まだまだ自分にもできることがあると、力が湧いてくるようだった。
中里唯馬
(ファッションデザイナー)
地球は奇跡の星です。
太陽との距離、太陽系の星々との距離。
これが少しでもずれていたら、生命を宿した美しい地球は存在していません。
そして、長い年月を掛け生命を育み、美しい地球が誕生しました。
人類は僅かな時間で、傲慢に生命と資源を奪い、汚し続け、この文明社会を構築して来ました。
ブレーキを失った文明と言う暴走列車は、止めることができないでしょう。
終着駅が目前に迫っているにも関わらず。
全ては無限ではなく有限であることを知った、今を生きる私たちにできることは何か?
そのヒントがこの映画には描かれています。
人が持つ可能性と言う技術によって、文明と言う暴走列車を止めることができるのか?
洋服を一つ選ぶところから、その希望が生まれることを、この映画は教えてくれます。
亀石太夏匡
(メイキットコープ株式会社 代表取締役 CEO)
山を削って広がっていく、海のように青い埋立地。
環境負荷が大きいアパレル産業は変革を求められています。

途方に暮れそうな大きな課題から目を逸らさず、自らが描く未来を信じて、前例がない中を突き進んでいく起業家たち。
服が長く使われ続けるサービス、ペットボトルの回収スキームを構築して再生繊維に、服から服ができる魔法のようなラボラトリー。課題を解決していくソリューションが素晴らしいことはもちろんのこと、家族や仲間と奮闘しながら前進する姿が美しくとても印象的でした。

本当に大切なものは何なのかーー。
彼らが目指している世界を、映画を通してぜひご覧いただきたいです。
大釜翼
(株式会社Social Plastik 代表取締役 CEO)
『reFashioed』は、ファッション業界の重要な側面として、古い衣服がもはや廃棄物としてではなく、何度も新しい衣服に変えることができる貴重な資源として見られるようになるにはどうしたらいいのかという点に焦点を当てています。私たちは、地球にプラスの影響を与える繊維産業に貢献できるような技術を見つけるという野心を持ちながら、2016年からHKRITAと共同で取り組んでいます。例えば、空気中のCO2を吸収する衣服、音波で水からマイクロプラスチックを分離する方法、混紡素材を新しい衣服にリサイクルする方法などが研究例として挙げられます。これら研究はすべて、人と地球への影響を最大化したいという思いから、ライセンスフリーとしています。
クリスティアン・ドルヴァ
(H&M ファウンデーション、プラネット・ポジティブ戦略責任者)
革新的な技術やビジネスは想いから始まる。

何とかしないといけない、子供たちのよりより未来にしたい、美しい国にしたいという香港の革命家たちの熱い思いは国を越えて心を動かされるにちがいない。とかく理由をつけて動きが遅い日本にもいい刺激になるはず。
MILLSを始めて知ったのは2018年の秋。混紡素材はリサイクルができないという常識を覆し、「あったらいいな」が形となった理想の技術だった。その背景に衰退から復活を目指す熱い想いや努力が隠されていたとは。
一方でリサイクルできるからバンバン買ってもいいというのではこれまでの使い捨て社会と変わらない。洋服や資源を大切にする気持ちをどう育んでいくかが世界的な課題だろう。
植月友美
(Enter the E代表)
周知の通り、ファッション業界にはさまざまな問題がある。その一方で、私たちは「装う」という人間の根源的な欲求からなかなか逃れられない。問題の解決とファッションの楽しさを両立させることは果たして可能なのだろうか——そう感じている人は少なくないにちがいない。だが、『リファッション』を見れば、すでに実現可能な提案がなされていることがわかるだろう。社会を変えるために必要なのは、あとは私たちの意識だけだ。
蘆田裕史
(京都精華大学デザイン学部 准教授)
ファッション産業はその存在も、環境インパクトも巨大で今まさにラディカルな変革を必要としていますが、その巨大さゆえ途方に暮れてしまいそうになる時があります。きっとこれを読んでいるみなさんもそう感じたことがあるかもしれません。
でも私がここ数年、様々な社会運動を通して学んだことは、いっけん届いてないように見えても、いっけん非力に思えても、必ず次の誰かにバトンを渡せているんだということです!
誰かの意思と努力が道をつくり次にそこを誰かが歩んだ結果社会が前進していく。
どんな微細な変化でも、どんな小さなwinでも積み重ねた先に未来がある。
この映画のなかでイノベーターの一人のこんな言葉がありました。
『やろうとしていることの50%が失敗したとしても、わたしたちにはまだ半分残っています。たとえ歩みは遅くみえたとしても人々に問題提起し関心を集め、そしていつか自分たちより頭のいい人が現れて問題を解決してくれるかもしれません』
社会変革は一人の力では起きません。一人でも多くの人の共感と、それをつなぐコミニュケーションがエンジンです。
この映画というパワフルなツールを通じて人々の共感を繋ぎ必要な変化へのバトンがたくさん生まれますように!
eri
(デプトカンパニー代表・アクティビスト)
監督:ジョアンナ・バウワーズ
プロデューサー:ケイト・フレミング・デイヴィス
音楽:ホー・リン・タン
出演:エドウィン・ケー、サラ・ガーナー、エリック・スウィントン、ヴァネッサ・チョン、ロナ・チャオ、エリック・バン
(2021/香港/86分/英語・北京語・広東語/原題:reFashioned)
©CHEEKY MONKEY PRODUCTIONS ASIA LTD 2021