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順不同・敬称略

阪本順治映画監督

この人の方が私たちより自然なのかもしれないと思った。人は、幻想の中で生きていることを、そういう動物なのだということを、あらためて知った。虐待は彼女を狂わせたかもしれないが、その狂いのなかに、社会性を放棄すればするほど人は人らしくなると思った。しかし、どこまでが虚構なのか、いまだ、眩暈がしている。いつまでも忘れられない快感。

立田敦子映画ジャーナリスト

影武者とは知らず金髪の美少年をJ.T.リロイとしてインタビューした身としては正直、複雑なのだが、“J.T.リロイ”を創造するに至ったローラの内なるドラマには、その過去を帳消しにするほどの衝撃があり、胸を突かれた。自分を好きになれないすべての人にとって、これは「闇」ではなく、「希望」の物語だ。

松江哲明ドキュメンタリー監督

覆面作家の告白かと思ったら、複数の自己と向き合うことになった、哀しくも可笑しいドキュメンタリーだった。まるで彼女の人生に拮抗するかのようなハイテンションな編集力。誰にも経験できない事件を、普遍的な物語に昇華してしまった構成が圧巻。

アヴちゃんミュージシャン/女王蜂

わたしはローラを笑えない。 リロイをけなせないし10年間信じたセレブたち、そしてなにより信じた読者たちを笑うことが出来ない。 スキャンダラスの向こう側はいつだって更地で、みんなそれにめげて謝ったり繕ったりするのだけれど、ローラは違った。 謝るどころか、、筆を動かして、責任をとっている! わたしはローラを、世界で一握りのほんものだと思う。

豊崎由美ライター、書評家

ローラ/J・T・リロイのどこがいけないのか、わたしにはさっぱりわからない。自分以外の誰かになりきることが罪なら、まともな作家は皆刑務所行きだ。

長谷川町蔵ライター

ガス・ヴァン・サントもコートニー・ラブも無かったことにしたいはず。ゼロ年代前半にJ.T.リロイを絶賛したことを。あれから10年、ようやく世間が忘れてきた頃に黒幕が事件の一部始終を語りつくした本作、てっきりコミカルな狂騒劇かと思って観たら胸を締めつけられた。驚いた!<彼>は確かに実在したのだ。

とんだ林蘭アーティスト

コンプレックスという形ないものが、鮮やかに視覚化されてしまった、ドラマティックな事実。複雑で、クリアなメタファー。彼(彼女)のもつ言葉がすきです。

鳥飼茜漫画家『先生の白い噓』『地獄のガールフレンド』

ひとが真っ直ぐに物を語るとき、そこに事実はなくても真実がある。真実を語るひとは、それがどんな人間であっても、孤独である。美しくも危うげなJ.T.リロイというセレブリティの虚像は、彼女にとって孤独を紛らす束の間の麻薬のようなものだったのかもしれない。私たちはその魔法が切れてしまうまでの焦燥感と、切れてしまった後の言いようのない倦怠感を、これ以上ないほどリアルに感じるほかない。

犬山紙子イラストエッセイスト

犬山紙子さんイラスト