<人々の力が日本を変えた 希望の瞬間を記録> 映画『首相官邸の前で』企画・製作・監督 小熊英二

映画『首相官邸の前で』Tell the Prime Minister

企画・製作・監督 小熊英二

私は、この出来事を記録したいと思った。

この映画の主役は、映っている人びとすべてだ。その人びとは、性別も世代も、地位も国籍も、出身地も志向もばらばらだ。そうした人びとが、一つの場につどう姿は、稀有のことであると同時に、力強く、美しいと思った。歴史家である私がいまやるべきことは、これを記録し、後世に残すことだと思った。...全文を読む

── 小熊英二

2015年9月19日(土)より、渋谷アップリンクほか全国順次公開

企画・製作・監督・英語字幕:小熊英二 撮影・編集:石崎俊一 音楽:ジンタらムータ 英語字幕校正:デーモン・ファリー
出演:菅直人、亀屋幸子、ヤシンタ・ヒン、吉田理佐、服部至道、ミサオ・レッドウルフ、木下茅、小田マサノリ ほか
2015年/日本/109分/日本語(英語字幕つき) 配給・宣伝:アップリンク ©2015 Eiji OGUMA

著作で数々の賞をうけた歴史社会学者の小熊英二、初の映像監督作品。

映画『首相官邸の前で』

2012年夏、東京。約20万の人びとが、首相官邸前を埋めた。NYの「ウォール街占拠」の翌年、香港の「雨傘革命」の2年前のことだった。

しかしこの運動は、その全貌が報道されることも、世界に知られることもなかった。

人びとが集まったのは、福島第一原発事故後の、原発政策に抗議するためだった。事故前はまったく別々の立場にいた8人が、危機と変転を経て、やがて首相官邸前という一つの場につどう。彼らに唯一共通していた言葉は、「脱原発」と「民主主義の危機」だった――。

はたして、民主主義の再建は可能なのか。現代日本に実在した、希望の瞬間の歴史を記録。

スタッフ総勢2名、企画決定30分

「映画を作ろうじゃないか。監督と出資は俺で、撮影と編集は君だ」。そこから製作は始まった。

無償提供された自主撮影映像を編集

ネット上で探し当てた自主撮影映像を、撮影者の賛同と協力にもとづき多数使用。現場映像だけが持つ生の迫力。

世代・国籍・出身・地位、全てがちがう8人の体験

原発事故の恐怖、運動の台頭、首相との会談までの経緯を、元首相を含む8人のインタビューで構成。

小熊英二(おぐま・えいじ)

1962年東京生まれ。出版社勤務を経て、慶應義塾大学総合政策学部教授。福島原発事故後、積極的に脱原発運動にかかわり、メディア上での発言も多い。2012年の著作『社会を変えるには』で新書大賞を受賞。他の著作に『単一民族神話の起源』(サントリー学芸賞受賞)、『<民主>と<愛国>』(大仏次郎論壇賞、毎日出版文化賞)、『1968』(角川財団学芸賞)など。映像作品の監督は今回が初めてだが、脱原発運動のなかで得ていた信用のために、多くの映像提供などの協力を得ることができた。

webDICE - 小熊英二インタビュー「個人の力ではなく相互信頼の力でできた映画」(2015-07-15)

映画『首相官邸の前で』小熊英二(おぐま・えいじ)

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