特集 ベルリン派の作家たち Retrospektive – Berliner Schule

上映終了

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『昼下がり』より
日時
上映終了
料金
一般¥800 / ドイツ文化センタードイツ語講座受講生・アテネ・フランセ文化センター会員・アップリンク会員¥600/アップリンクパスポート適用外
会場
FACTORY(1F)

≪21世紀に現れたドイツ映画の新しい波・ベルリン派と呼ばれる映画作家たちの代表作10作品を特集≫


ファスビンダーの死後、ドイツ映画は国際的な注目を失っていた。その沈黙を破ったのが2000年代初頭の「ベルリン派」の台頭である。フランスでは「ヌーヴェル・ヴァーグ・アレマーニュ(ドイツの新しい波)」と呼ばれた。日常的な事柄に目を向け、スペクタクルや饒舌とは無縁に映像本位でドラマを紡ぐ繊細な作品群は、当初から批評で絶賛された。だが興行的な成功からは遠く、おそらくそこに「ベルリン派」の知名度があまり上がらなかった理由があるのだろう。だが90年代から活躍しているペッツォルト、アルスラン、シャーネレクは自己の作風に忠実にさらに大きな歴史や物語の世界を指向している(ペッツォルトは東ドイツの過去に、アルスランは19世紀末の西部開拓の世界に)。アピチャッポン、ダルデンヌ兄弟などの影響も語られる「ベルリン派」の映画は、映像への信頼によって生み出された珠玉の作品群である。戦後ドイツ映画がずっと実現しえなかった、いわば<純粋映画>がそこにある。
渋谷哲也(ドイツ映画研究者)

作品解説1
『晴れた日』『バンガロー』『スリーパー』

作品解説2
『幻影』『渇望』『ピンポン』

作品解説3
『昼下がり』『休暇』『イェラ』『イン・ザ・シャドウズ』



上映作品

★『晴れた日 Der schöne Tag』(2000) 監督:トーマス・アルスラン
☆『バンガロー Bungalow』(2002) 監督:ウルリヒ・ケーラー
★『スリーパー Schläfer』(2005) 監督:ベンヤミン・ハイゼンベルク
☆『幻影 Gespenster』(2005) 監督:クリスティアン・ペッツォルト
★『渇望 Sehnsucht』(2006) 監督:ヴァレスカ・グリーゼバッハ
☆『ピンポン Pingpong』(2006) 監督:マティアス・ルートハルト
★『昼下がり Nachmittag』(2007) 監督:アンゲラ・シャーネレク
☆『休暇 Ferien』(2007) 監督:トーマス・アルスラン
★『イェラ Yella』(2007) 監督:クリスティアン・ペッツォルト
☆『イン・ザ・シャドウズ Im Schatten』(2010) 監督:トーマス・アルスラン


『晴れた日』 Der schöne Tag (2000/74分)
監督・脚本:トーマス・アルスラン
撮影:ミヒャエル・ヴィースヴェク 
出演:セルピル・ツルハン、ビルゲ・ビングル、ハンス・ツィッシュラー





21歳のデニスは、映画の吹き替えの仕事をしている。『夏物語』(エリック・ロメール)の録音の後、彼女は恋人ヤンに別れを告げる。彼女は晴れたベルリンの街を歩き、愛について思いを巡らせる。「彼女は街の現実の地理関係に従って移動する」(アルスラン)。

8/17(日)13:00~
8/20(火)17:00~
8/23(金)20:50~



『バンガロー』 Bungalow (2002/84分)
監督・脚本:ウルリヒ・ケーラー
撮影:ウテ・フロイント、パトリック・オルト
出演:レニー・ブルムマイスター、デヴィット、シュトリーソウ、トリーネ・ディルホルム






19歳のパウルはドイツ国防軍の初年兵。演習からの帰路の途中で部隊を離れ、両親の別荘に入り込み、こっそり滞在する。そこへ彼の兄マックスが恋人レネと訪れ、兄弟の葛藤が高まってゆく。ケーラーの長編デビューである本作は、内外の映画祭で数多くの賞を獲得。

8/19(月)19:00~
8/21(水)13:00~



『スリーパー』 Schläfer (2005/99分)
監督・脚本:ベンヤミン・ハイゼンベルク
撮影:ラインホルト・フォアシュナイダー
出演:バスティアン・トロスト、メーディ・ネボウ、ロレッタ・プフラウム






ミュンヘンの大学でウィルス学を教えるヨハネスはペルシア人の同僚ファリッドと仲良くなる。だがある日、連邦憲法擁護庁からファリッドにテロリストの疑いがあるためスパイするよう要請を受ける。やがて彼らの間に職場の緊張が高まったとき、ヨハネスはある決断をする。

8/21(水)17:00~
8/22(木)13:00~



『幻影』 Gespenster (2005/85分)
監督・脚本:クリスティアン・ペッツォルト
撮影:ハンス・フロム
出演:ユーリア・フンマー、ザビーネ・ティモテオ





孤児のニナは、年長の少女トニに魅せられる。ペッツォルト(『東ベルリンから来た女』)の「幻影三部作」第二作。ハルーン・ファロッキが共同脚本。ペッツォルトはベルリン映画TVアカデミー在籍中、ファロッキやハルトムート・ビトムスキー作品の助監督を務めた。

8/18(日)13:00~
8/21(水)20:50~



『渇望』 Sehnsucht (2006/85分)
監督・脚本:ヴァレスカ・グリーゼバッハ
撮影:ベルンハルト・ケラー
出演:アンドレアス・ミュラー、イルカ・ヴェルツ、アネット・ドルンブッシュ





ベルリン近郊の村に住む若い夫婦。彼らは幼なじみで仲睦まじく、仕事も熱心だった。だが夫が出張先である女性宅に泊まった日から、取り返しのつかない変化が始まった。グリーゼバッハは事前に田舎の光景を撮影し、それを基に人物像やドラマを紡ぎ出していった。

8/18(日)19:00~
8/20(火)13:00~
8/22(木)20:50~



『ピンポン』 Pingpong(2006/89分)
監督・脚本:マティアス・ルートハルト
撮影:クリスティアン・マロール
出演:セバスティアン・ウルツェンドスキー、マリオン・ミッターハマー






ある日、シュテファンの家を甥のパウルが訪れる。パウルの突然の滞在が、シュテファンの妻アンナ、息子のローベルトの心理の奥底を浮き彫りにし、物語は痛ましい結末を迎える。カンヌ映画祭批評家週間に出品され、脚本賞などを受賞したルートハルトの初長編。

8/18(日)17:00~
8/21(水)19:00~
8/23(金)13:00~



『昼下がり』 Nachmittag (2007/97分)
監督・脚本:アンゲラ・シャーネレク
撮影:ラインホルト・フォアシュナイダー
出演:ジルカ・ツェット、ミリアム・ホルヴィッツ、アンジェラ・シャーネレク






チェーホフの『かもめ』の登場人物になぞらえたある家族の物語。郊外の家に伯父アレックスと住む作家志望のクリスティアン。そこに彼の母で女優のイレーネが新しい恋人と戻ってくる。だが長い年月の間の溝は埋まらず、母も息子も孤独の中に取り残されてゆく。

8/18(日)20:50~
8/19(月)17:00~
8/22(木)19:00~



『休暇』 Ferien(2007/91分)
監督・脚本:トーマス・アルスラン
撮影:ミヒャエル・ヴィースヴェック
出演:アンゲラ・ヴィンクラー、カロリーネ・アイヒホルン、ウーヴェ・ボーム






ベルリンの郊外ウッカーマルクの閑静な家にアンナは夫と息子と暮らしている。ある夏の日、アンナの家に長女とその家族、次女、母らが集い、家族の関係が見つめ直される。アンナを演じるのは、ニュー・ジャーマン・シネマの代表的女優アンゲラ・ヴィンクラー。

8/17(土)17:00~
8/19(月)20:50~
8/22(木)17:00~



『イェラ』 Yella (2007/89分)
監督・脚本:クリスティアン・ペッツォルト
撮影:ハンス・フロム
出演:ニーナ・ホス、デヴィット・シュトリーゾフ、ヒンネルク・シューマン






イェラはハノーファーで新しいパートナーと出会うが、元夫の存在に悩まされる。ペッツォルトの「幻影三部作」最終作。「イェラ」の名前は『都会のアリス』(ヴィム・ヴェンダース)の主演イェラ・ロットレンダーに由来。ニーナ・ホスは本作でベルリン映画祭主演女優賞を受賞。

8/17(土)20:50~
8/19(月)13:00~
8/23(金)19:00~



『イン・ザ・シャドウズ』 Im Schatten (2010/85分)
監督・脚本:トーマス・アルスラン
撮影:ラインホルト・フォアシュナイダー
出演:ミシェル・マティシェヴィチ、カロリーネ・アイヒホルン、ウーヴェ・ボーム


(c) Schramm Film

かつての犯罪者仲間から命を狙われることになったトロヤンは、独自に現金輸送車を襲撃するための緻密な計画を立てる。「この物語では登場人物が絶えず移動しているが、それによってベルリンという街を見せる可能性が大きく広がった」(アルスラン)。

8/17(土)19:00~
8/20(火)20:50~
8/23(金)17:00~



ベルリン派とは
2000年代初頭にドイツで台頭した独自の映像美学を持つ映画作家たちを指す。ドイツのメディアによる命名であり、すでに90年代から映画制作を始めていたペッツォルト、アルスラン、シャーネレクがベルリン・ドイツ映画テレビアカデミーの同窓生だったことがその由来の一つである。だが、実際のところ、各作家たちの出身地や活動はベルリンに限っていない。長回しや自然光の多用、日常的な場面を淡々と撮る映像スタイル、登場人物の現実を追体験させるような作風が特徴である。アントニオーニ、ブレッソン、カサヴェテスなどの影響が語られることもある。(渋谷哲也)


■全作品日本語字幕付き(デジタル上映)
■主催
東京ドイツ文化センター、アップリンク、アテネ・フランセ文化センター
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