『眠り姫』

上映終了

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日時
上映終了
料金
一般¥1,300/学生・シニア¥1,100/UPLINK会員¥1,000 ※特別興行の為パスポート会員使用不可、サービスデー適応外
会場
X(2F)
作品分数
80分
リンク

アンコール上映、とうとう17回目!!
スクリーンでしか見えてこない、何かがある。


この映画が写し出すのは、ありふれた日常の、ありえない光景。そこには人が、ほとんど姿を見せないのだ。誰もいないのに、気配だけあり、声がさざめく。それは恐ろしいほど美しい心象風景。冬の淡くうつろう光を狙い、足掛け二年の歳月をかけて撮影された映像詩が、人を写す以上に、人の孤独を、情感を浮き彫りにする。
記憶の奥深くまで語りかけてくる、奇妙な物語。そして、存在すら確かでない登場人物たち…。その声に耳をすまし、不可思議な映像に身をゆだねていると、主人公の女性・青地の心の奥底が、やがてレントゲン写真のように浮かびあがってくる。露わになった、人の心の危うさを垣間見るとき、我々は、いまだかつて観たことのない、全く新しい映画体験をする。


原作は山本直樹の同名漫画「眠り姫」。
その原典は内田百閒「山高帽子」。

かつて内田百閒という稀有なる作家がいた。夏目漱石の弟子となり、明治・大正・昭和の流れをのらりくらりとすり抜けて、人を食ったような作風で、夢に迷いこむがごとき文章を遺した。「山高帽子」には、百間自身であろう青地という教師と、同じ漱石門下であり、海軍機関学校では職場の同僚だった芥川龍之介と思しき教師・野口が登場する。この二人が話題にするのは、幻聴や錯覚にまつわるエピソードの数々。すでにそれが妄想的とも言える日常を通して“ぼんやりした不安”が語られる。芥川の遺書にあるその言葉のように、えたいの知れない不思議な短編小説だ。
孤高の漫画家・山本直樹は、その「山高帽子」の舞台を現代に、青地を女性に置き換えて、「眠り姫」を描いた。壊れていてむしろ普通かもしれない、今の社会。ぼんやりした不安は誰の心にも潜み、逃れられないものだと感じさせる、珠玉の名作である。
(「眠り姫」・・・山本直樹著「夢で逢いましょう」(太田出版)、「夜の領域」(チクマ秀版社)所収)


『眠り姫』(2007年/80分)
声:つぐみ、西島秀俊、山本浩司
原作:山本直樹
音楽:侘美秀俊
監督・脚本・撮影:七里 圭



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