CAST

I.F.ストーン
Isidor Feinstein Stone
(1907-1989)
調査報道記者

クーロ・アルバイシン

「メディアは地球上に平和をもたらす最強の武器になりえる。それなのに、現在は戦争の武器として使われている。すべての政府は嘘をつく。特に戦争の最中には」

米国フィラデルフィア生まれ。14歳で個人雑誌を発刊以来、新聞編集に携わる。1933年「ニューヨーク・ポスト」紙論説委員、1938年自由主義週刊誌「ネーション」編集次長。53年から71年まで個人で発刊した新聞「I.F.ストーン・ウィークリー」は「20世紀のアメリカのジャーナリズムのトップ100作品」の中で16位に入り、購読者の中には、マリリンモンローやアルバート・アインシュタインなどもいる。
一貫して組織から独立して活動し、「すべての政府は嘘をつく」という前提のもと、政府や権力者の欺瞞を暴き続け、権力を痛烈に批判してきた。彼の意志を継ぐ多くのジャーナリストを輩出した。

ノーム・チョムスキー
Noam Chomsky
マサチューセッツ工科大学名誉教授/言語哲学者

クーロ・アルバイシン

「ストーンはすばらしいジャーナリストでした。本人も言っていましたが、彼のキャリアに大きなプラスとなったのは、彼が排除された存在であったことです」

「かつては大衆を黙らせるには武力が使われました。現在ではメディアを利用して大衆をコントロールするのです」

「現代言語学の父」、人文社会科学諸分野における「巨魁」、一国を超えた「世界の良心」と評される。著書は言語哲学、認知科学分野にとどまらず、戦争・政治・マスメディアなど多岐にわたり100冊を超える。本作では、「合意の捏造(マニュファクチャリング・コンセント)」と呼ばれる状況(大衆をコントロールするために大手メディアを利用し、大手メディアが報道ではなくプロパガンダを産業としていること)を語る。

JOURNALIST

エイミー・グッドマン
Amy Goodman
『デモクラシー・ナウ!』ホスト兼製作総指揮

クーロ・アルバイシン

「私たちは独立系ジャーナリストとして恐ろしいほどの責任を負っている。I.F.ストーン のような先人たちの築き上げた手法を真似て、沈黙のあるところへマイクを差し出す」

米国最初の非営利独立放送局パシフィカ・ラジオのWBAI局(ニューヨーク)でジャーナリストとしてキャリア を積み、1990−91年にインドネシア占領下の東ティモールに取材、「ディリ虐殺」の報道で数々の賞を受賞し た。1996年にラジオ番組として『デモクラシー・ナウ!』を開設し、ナイジェリアでの米国系石油企業の活動や、 反グローバリズム運動の興隆、世界社会フォーラム、国連人種差別撤廃会議など、アメリカの主流メディアが取 り上げない話題を徹底して追究してきた。2000年に『デモクラシー・ナウ!』をパシフィカ・ラジオから独立させ、 番組の総合司会をするかたわら全国各地での講演、コラム執筆なども行う。

グレン・グリーンウォルド
Glenn Edward Greenwald
ジャーナリスト、調査報道サイト『ジ・インターセプト』共同創設者

クーロ・アルバイシン

I.F.ストーンは"ブロガー"の先駆けだったと思います。彼が活躍していた頃はまだブロガー なんていませんでしたけど。彼は、今私たちが実践している"新しいメディア"の精神を体現 していました。それはつまり、取材対象である権力から可能な限り距離を置いて仕事をする という信条です」

ジャーナリスト、憲法学者、作家であり、ニュースサイト「ジ・インターセプト」を、ジェレミー・スケイヒル、ロー ラ・ポイトラスと共同創設した。エドワード・スノーデンによるNSA国家安全保障局による個人情報収集に関す る内部告発を「ザ・ガーディアン」紙にてスクープ。一連の報道は2014年のピューリッツァー公益部門賞 を受 賞。『暴露:スノーデンが私に託したファイル』(新潮社)ほか著書多数。 パーク・センターのインディペンデント・ジャーナリズムに贈られるI.F.ストーン賞を2008年にエイミー・ グッドマンと共に初めて受賞。外交専門誌『フォーリン・ポリシー』2013年世界の思想家トップ100受賞。

カール・バーンスタイン
Carl Bernstein
調査報道ジャーナリスト/『大統領の陰謀』共著者

クーロ・アルバイシン

「報道の真の敵は社会通念です。ウォーターゲート事件には記者の勘で臨みました」

ワシントンポスト』記者だったバールスタインは、ボブ・ウッドワード記者と共に卓越した調査報道を行い、 ウォーターゲート事件でリチャード・ニクソン大統領を辞任に追い込んだ。その手記は共著『大統領の陰謀』 (文藝春秋)にまとめられ、1973年にピューリツァー賞を含む多くの賞を受賞した。『ワシントン・ポスト』を退社 後はニューヨーク大学教授に就任、ABCネットワーク上級特派員、タイム誌に寄稿するなど活躍した。

クリス・ヘッジズ
Chris Hedges
ジャーナリスト/政治活動家

クーロ・アルバイシン

「記者には2種類います。人を気にかけるタイプと、気にかけないタイプです」

『 ニューヨーク・タイムズ』海外特派員として20年に渡り中米、中東、アフリカ、東欧情勢を報道し、2002年 ピューリッツァー賞を受賞。イラク侵攻に対し批判的な報道をきっかけで『ニューヨーク・タイムズ』紙を辞任。 フリー・ジャーナリスト、活動家として活動する一方多くの大学で教鞭を執る。

マイケル・ムーア
Michael Moor
映画監督/ジャーナリスト/政治活動家

クーロ・アルバイシン

「 “週刊I.F.ストーン” から学んだのは “ユーモア” が持つ力です。ユーモアは何も楽しい ジョークだけを指すのではありません。政治の世界では最も鋭い武器になるのです」

ミシガン大学中退後、自ら創刊した地方紙でジャーナリストとしての活動をスタートする。1989年、GM社の生 産拠点である故郷の工場閉鎖に伴う大量解雇を取材した「ロジャー&ミー」で監督デビュー。GM経営者への 突撃取材が批評家の絶賛を得る。その後はテレビ界へも活躍の場を広げ、突撃取材などを用いたユニークなド キュメント番組を製作する。『ボウリング・フォー・コロンバイン』(2002年)でカンヌ映画祭およびアカデミー 賞を、『華氏911』(2004年)でカンヌ映画祭受賞。