映画『美が私たちの決断をいっそう強めたのだろう/足立正生』

コメント

滑り出しの声!その親密な記憶が詩的肖像画と呼びたい映画を支配する。声の主は日常を破壊し政治も社会も芸術もまるごと引き受ける覚悟を湛えてノンシャランと在ることの美しさを浮上させる。革命とは破壊の嵐である以上にその只中にぽっかりとあるそんな静謐、それを持続していくことと思い当たらせる。"世界を救う美"をそうやって映画は柔らかに指し示すのだ。

川口敦子 (映画評論家)

足立正生氏と過ごした期間を捕まえようとした結果、本作は幻のような時間と空間を観客に強要する。

人間を描くことよりも、撮影そのものの共有を優先させたドキュメンタリーはどこか心地良かった。

松江哲明 (映画監督)