コメント

DUNE

(敬称略、順不同)

僕は、ホドロフスキーの大ファンなのです。

実は最近、彼のBlu-ray作品が何枚か出たので、買い直したくらいです。彼の作品に関して、ちょっと調べてみたら日本で発表されてない作品が、まだ二作品あるんですね。
このドキュメントを観て知ったのですが、絵コンテ、脚本は、ほぼ完成してたみたいで、あの配役、スタッフで制作していたら、いったいどうなっていたんでしょう?考えただけで、ワクワクしてしまいます。
ダリ、ミック・ジャガー、ピンク・フロイド、etc。
以前、テリー・ギリアムの完成しなかった映画のドキュメントを観たんですが、映画を作るためには、いくつもの越えなくてはいけない難関があるんですね。ましてや、こんな途方も無い作品…。
しかし、この作品そして制作に関わろうとしたスタッフが、後に『エイリアン』を生み出したり、その後の優れた映画の雛形になったり、大きな影響を与えていて、それはとても素晴らしい事実だと思います。

―岡村靖幸
(ミュージシャン)

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ピンク・フロイドにミック・ジャガー、BDの巨匠メビウス、世紀の画家サルバドール・ダリに大俳優オーソン・ウェルズ… 沸き出すイメージに駆り立てられるまま、超人的エネルギーを放出する各界の表現者達に、自分の作る映画に携わらないかと声をかけまくる。しかも資本経済のツールと化す事を拒み、カネに踊らされない真に自分が創りたい作品として、『スター・ウォーズ』以前にホドロフスキーが生み出そうと賢明になっていた幻のSF大作『DUNE』。ハリウッドの映画業界をも恐れさせる強靭な精神力と、創作に対する闘魂意欲の詰まった巨大燃料タンクを抱えた、80歳半ばの芸術家の驚異的タフさは、この世に存在する、全ての表現者が知っておくべきものなのではないだろうか。実現できなかったという顛末も含めて『DUNE』は至上の大傑作であり、何よりもホドロフスキーの存在こそが宇宙のように壮大なSFなのだと感じさせられる、強壮作用満点の最高のドキュメンタリー作品。自分も死ぬまで突っ走ろうとしているこの人の生き様を目指したくなった。

―ヤマザキマリ
(漫画家/「テルマエ・ロマエ」)

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わたしがまだ地球にいた頃、『デューン』という小説が話題になっていた。純粋数学とスパイスの力で宇宙を移動することのできる世界とはつまり、誰かの幻想に限りなく近い。つまりクスリは人間にではなく宇宙に対して作用するのだ。『デューン』はそうした宇宙規模の幻覚小説であると同時にテラフォーミングについての小説であり、惑星規模の生態系の完成と個人の精神的完成がここでは同じことになりうる。
すなわち『デューン』の映画化とは「個人の完成」と「惑星の完成」と「映画の完成」を同時に試みるということになる。素直に考えるとそうなる。「一本の映画を完成させること」と「映画という文化を完成させること」は通常異なる。この違いがわからない男が一人いたわけである。実はもっとたくさんいた。人が人である以上、その両方は達成しがたい。ここにはその一方がある。どちらなのかは観る者によって異なるはずだが、それはホドロフスキーの責任ではない。

―円城塔
(作家/「道化師の蝶」)

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クリエーターの神髄とは「命にかえても作品を完成させること。未完では遺志を伝えようがない」。固くそう信じて、これまで物創りを続けてきた。だから、「未完の大作」として伝説にもなっているホドロフスキーの『DUNE』を題材にした本作の話を聞いた時、正直観たいとは思わなかった。ところがどうだ。撮影すらしていないのに、『DUNE』は完成しているではないか!どんなメイキングより、ドキュメンタリーより、勇気と感動を与えてくれる!ホドロフスキー・ファンのみならず、物創りに携わる者、物創りを目指す者必見の作品といえよう。
これは『デューン/砂の惑星』で座礁した記録ではない。命からがら逃げ帰った制作者達による悔恨の愚痴でもない。
「新たな魂の惑星」を目指したホドロフスキーとその同志達による、映画の未来を語る物語である。
これは、ホドロフスキーそのものであり、ホドロフスキーの人生であり、ホドロフスキー作品『DUNE』だ。

―小島秀夫
(ゲームデザイナー/
「メタルギア」シリーズ監督)

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もしも『DUNE』が完成していたら。現在の映画史は大きく書き換えられていたと誰もが言う。もしかしたら『スター・ウォーズ』だって『エイリアン』だって生まれなかったかもしれない。でも、歴史にifはなくて、僕たちは「DUNEが作られなかった現在」を生きてる。
この映画は、そんな現在を生きる関係者たちの悲喜こもごもや、監督自身の言葉を手がかりにして、『DUNE』とは一体何だったのかを解き明かしていく。果たして答えは出るのかどうか、それは自分の目で見てほしいけど、言えるのは『DUNE』が持つ可能性だ。完成しなかったからこそ、それぞれの想像が膨らんで、『DUNE』像は変わり続けていく。どんな映画よりも常に新しいのだ。これ以上の未完の大作はないかもしれない。
あともうひとつ。ゴールするよりも、まずはスタートしてみること。動き出せば人が集まって、場所ができる。ここで出会った人たちが別の映画をつくったみたいにきっかけが生まれる。そのことに改めて気づかされた映画だった。

―家入一真
(活動家)

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これまで評論を書くとき、ずっと黙っていたことがある。「創造とは実は設計ではなく降霊術なのではないか」という疑念である。うかつに言うと「アブナイやつ」あつかいされかねないそんな核心を、この恐るべきドキュメンタリー映画は真っ正面からズバリと突いてきた。70年代から見てきた数々の著名SF映画も、未完の映画『DUNE』でホドロフスキーがめざした猛毒を希釈したもの。まさに人類を覚醒させる妙薬メランジを、口当たりよい飲み物にしたに過ぎないと発覚したこの驚き。そしてホドロフスキー監督は同時に「人たらし」の典型でもある。まるで『七人の侍』『ドラゴンクエスト』のように一人ずつ戦士をリクルートし、映画に必要な天啓をあたえて最高の仕事を触発していく。そうだ。やはりこれは原作『DUNE』で描かれた「意識の問題」ではないか。つくる人と観る人と、意識をつなぐ映画がメランジなのだ。パズルの断片すべてがピタリとハマるそんな触発の快楽を、どうか一人でも多くの方に味わっていただきたい。

―氷川竜介
(アニメ特撮研究家/
明治大学大学院 客員教授)

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ホドロフスキーの作品として私が触れていたのは『El Topo』『The Holy Mountain』『Santa Sangre』の3作品だけだった。

強烈な個性を放つその全く違った3作品は1度目にしただけで,私が知り得る映画の中でも郡を抜いて特別な存在となっていた。
『DUNE』の存在はこのドキュメンタリーを通して知った。その作品への自由な発想と一寸も妥協しない姿勢にホドロフスキーの人間性の全てが伺える。やはり映画はその人自身。彼の口から溢れ出るこの映画に関するキーワードはどれも興味そのものでしかなく、またその全てが個性的で強い。強さと強さを引き合わせて、調和を取ることが出来たのはホドロフスキーだけなのかも知れない。必ず超大作となったであろう『DUNE』は間違いなく幻の作品だ。彼の頭の中にだけあった『DUNE」を一瞬でも垣間見えたこの作品はバラバラになっていたホドロフスキーの身体の一部を引き戻してくれた様な気がした。子供のように感情豊かに、純粋まっすぐに”映画”を追求する奇跡の監督は未だ現役で健在である。

―長尾悠美
(Sisterディレクター/バイヤー)

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「最近またホドロフスキーがキテる。」 映画通の間では、昨年秋頃から囁かれ始めた。

突如として「エル・トポ」から「サンタ・サングレ」までの3作品がブルーレイでリ・イシューされた。 そういえば、丁度10年ほど前にも、未公開作品「ファンド・アンド・リズ」を同梱した全4作品のDVD-BOXが発売された。もちろんホドロフスキー信者の私は即買い。 ホドロフスキーブームは十年周期でやって来るのかもしれない。クリエイター達の教科書であり続ける為に……。

私が高校生だった頃、「宝島」に掲載されていた「エル・トポ」リバイバル上映に向けての映画評が私の心を鷲掴みにした。

「ジョン・レノンが版権を買い取るほどに愛した作品」 「魂を揺さぶるカルトムービー」

時はレンタルビデオ黎明期、程なくして念願叶い、初鑑賞する事が出来た。……もはやそれは「映画」の域を超越していて、まるで「哲学書」のようであった。続いて「ホーリー・マウンテン」も観る事が出来た。前作よりもかなりキャッチ―な絵柄で作られているが、こちらは「宗教書」の様相を呈していた。 「エル・トポ」と「ホーリー・マウンテン」は2個イチの関係なのだ。「ダイ・ハード」が縦、「ダイ・ハード2」が横の空間を駆使して描かれていたように。

「サンタ・サングレ」はかなり世俗的な作風ではあるが、私が実際にいた場所、プロレス会場「アレナ・コリセオ」をはじめ、数々のメキシコの光景が映し出されていて、個人的にはかなり興味深い作品となった。

昨年末、私は導かれるように書店で「映画秘宝EX狂烈ファンタジー映画100」を手にしていた。「もしホドロフスキーが『砂の惑星』を作ったら、という妄想全開インタビューのドキュメンタリー映画が来年公開」と記されてあった。そしてこの度「ホドロフスキーのDUNE」を鑑賞させていただいた。

ホドロフスキー曰く「『預言書』を作ろうと考えた。」これはまさにホドロフスキーと共に時空を越えて、パリ、ロサンゼルス、ハリウッド、ロンドン、ニューヨーク、バルセロナ、グリュイエール、そして遥か宇宙を旅する90分の素晴らしい「体験」であった!! 「アンヴィル!夢を諦めきれない男たち」、「シュガーマン奇跡に愛された男」に次ぐ、昨今流行りの業界関係者インタビュー&本人ドキュメント物の、いよいよ真打ち登場なのだ!

漫画家メビウス、特殊効果ダン・オバノン、イラストレーター クリス・フォス、そしてあのH.R.ギーガーという最強戦士(スタッフ)達と手を組み、音楽にピンクフロイド、マグマ、キャストにデヴィット・キャラダイン、オーソン・ウェルズ(ハルコンネン男爵役、見たかったなぁ)、サルバドール・ダリ、ミック・ジャガーを次々と快諾させ、SF映画史の金字塔が生まれようとしていた。ホドロフスキーは誰からも好かれる最高の営業マンでもあったのだ!

「妄想全開」?いやいやとんでもない!あの世界に2つしかない分厚い絵コンテ企画書こそが、既に「『DUNE』は完成していた」証なのだ。オーソン・ウェルズ監督「黒い罠」にインスパイアされたという、冒頭の宇宙における最大の長回しシーンの絵コンテが動き出した瞬間、誰よりも50年先を走っていたホドロフスキーがようやく映画界における偉人となったのだ!

「ハリウッドが拒絶したのは彼(ホドロフスキー)を恐れたからだ。自分達が脅かされるとね。」ニコラス・W・レフンのその言葉が全てを物語っている。

「(紙幣は)ただの紙切れで中には何もない!映画には心がある」唯一ホドロフスキーが怒りを露わにし、魂の叫びを上げた瞬間は必見!

「志を持たずして生きるなんて無理だ。出来るだけ大きな志を持つ。不死を望むならそのために闘え。」85歳のホドロフスキーの言葉に、日本の同世代は耳を傾けて欲しい。偉大なる開祖、ホドロフスキーの23年振りとなる新作も本作に引き続き公開される!

今年はホドロフスキー・イヤーとなる!

―ザ・グレート・サスケ
(プロレスラー)

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