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『サーチャーズ2.0』の企画はアレックス・コックスの公式HPサイト「alexcox.com」の中で正式に発表され、出資を募った。そこにはいくつかの金銭的条件とともに一風変わった条件も書き記してあった。 “俺(アレックス・コックス)の代りにテリー・ギリアムを起用しないこと”“キャストとクルーは全員が同じ給与をもらい、利益の一部をともに分け合う”というものだった。

ある大物プロデューサーはこの脚本を読み「この映画を作ろう。予算は350万ドルから500万ドルで、ビル・マーレイをキャスティングする」と提案してきた。しかしアレックス・コックスは「ハリウッドに住む億万長者の俳優をキャスティングし、ホームレスのふりをさせても腹が立つだけだ」とその話を断った。「低予算で作る映画の大きな長所は、監督が俳優やクルーと直接仕事ができることである。金額的に余裕のある予算が組める場合には、必ず妥協しなくてはならない点が出てくる。それがキャスティングだ」とも語った。

インディペンデント製作にこだわったこと、名匠ジョン・フォードの『捜索者-The Searchers』のロケ地モニュメント・バレーで撮影しマカロニ・ウエスタンの匂いをつけたことには意図があったとアレックス・コックスは語る。「映像作家は伝えるべきストーリーのためにジャンルを利用することが出来る。僕が関心を持っているのは我々欧米の文化が資源を巡り資源大国と交戦状態に入っているということなんだ。それが契機でアメリカはイラク戦争を起こし、現地に居座ってしまった。だからそういった主題の映画をハリウッドで作ることは不可能だ。だから問題を議論できるようなストーリーをある<ジャンル>の中で描くことにした。ジャンル映画ならそういった表現も許される。観客を楽しませている限り、少々の政治的メッセージや議論は許されるんだ」 また本作でマカロニ・ウエスタンの影響が顕著に見られるのは対決の場面である。
「『続・夕陽のガンマン』では3人の男のいわばアパルトヘイト(分離)が描かれている。この映画は21世紀の現代であるので女性も入れた4人の間のアパルトヘイトを描こうと思ったんだ。もっと面白くなるからね。それに大勢が殺されるようなバイオレントな映画も好きだけれど誰も殺されないように作るのも面白いだろうなと思ったんだ。ひどい目にあってもどうにかして全員が生き残る、そういう映画だ」とアレックス・コックスは語る。

撮影は2006年12月5日に開始された。クルーは総勢わずか10名。車両もたったの4台だった。
撮影機材はアレックス・コックスが無償で借りてきたカメラ(ソニーZ1-J)で行われた。撮影は15日間で無事終了し、これまでのアレックス・コックス作品の中で最短かつ最高の撮影であった。