メッセージ

母となったセヴァン・スズキからのメッセージ

― 「オーガニック」について

セヴァン・スズキ

私は子どもの頃、「オーガニック」の食べ物について知りませんでした。でも祖父が庭で育てたものを食べるのは、とても好きでした。祖父は都会の真ん中で、いまだにあの素晴らしい庭を保っています。彼とガーデニングをするのはとても楽しいです。祖父がよく言っていたことは「庭づくりは簡単だよ。植物は生長したがっているんだから!」ということです。強い化学薬品を使わずに育てるのです。私はノンケミカルの食べ物を「オーガニック」と呼ぶのはおかしなことだと思います。いたって普通で健康的な、毒されていない食べ物なのですから。農薬や除草剤で育てられた食べ物こそ「化学」食品、などと呼ばれるべきです。その方が納得できます。

息子のセンタロウには、できる限りオーガニックのものを買います。特に乳製品はオーガニックのものにしています。私たちはここ、ハイダグワイで生活できて幸せだと思います。肉や魚介類は、自分たちで獲れますから。そうすることで汚染を広げずに済みます。衣類に関しては、地元のデザイナーやメーカーを支援する店で買うようにしています。日用品についてはボラックス(環境にやさしい家庭用洗剤)やお酢、古着などシンプルなものを使用して掃除をしています。化粧品については、エコや健康への意識が高い会社の製品を買うようにしています。そして自分でクレンジングやクリームを作り始めました。すごく簡単だし楽しいですよ!


― 母になることで起こった変化

母親になることによって、人生や考え方が変わる人はいないと思います。でも、これまで気にしていなかったような考え方に対して、目を向けるようになりました。女性は社会に対してたくさんの良い行いをしているのです。母として、以前よりも未来に対して真剣になっています。息子がいるからです。でも、これまでよりずっと忙しいし、疲れることも多いです。だから私は、母親たちがこれまでのやり方を変えてエコな決断を下すのは、とても大変なことだと知っています。彼女たちは世界で一番忙しい人たちなのですから。一方で、エコ商品を買ったり、環境NGOを支援するのもまた、彼女たちなのです。社会が正しい決断を下すことができるよう、そして母親にとってもう少し楽な社会になるよう、政府を変えていかなければならない。今まで以上にそう思います。

― 子どもたちのために

私の息子はまだ2歳にもなっていません。2030年には大人になります。その頃には、たくさんの変化が訪れているでしょう。そのとき今日私たちがしていることを思い出し、私たちを咎めることがないよう、願っています。私たちが彼の未来を浪費したと思ってほしくありません。リオの地球サミット以降の政治的リーダーシップには、ひどく幻滅しています。でも私には、諦めることができません。人々を信じていますから。人類は驚くべきことを成し得ると、私は知っています。今こそその力を発揮するときです。社会全体で結束しなければなりません。現代の最大の問題に立ち向かうため、ひとつの種族として一体とならねばなりません。化石燃料に基盤を置く社会からの転換を図り、環境的にも社会的にも持続可能で責任あるコミュニティに変えていくのです。

― 映画について

『未来の食卓』には感動しました。そしてその映画の監督が私を取材するためにハイダグワイまで来てくれるということを、光栄に思いました。でも、完成した映画を観るまで、自分があんなに大きな存在になっているとは気づきませんでした。とても驚きました!ジャン=ポール・ジョー監督が、私のメッセージを強く感じ取ってくださったことを、うれしく思います。映画を観たとき、心から名誉に思いました。

― 「未来」という言葉

未来は、まだ夢です。私たちの夢なのです。あなたと私が作り出していくものです。未来は私たちが決断を下していく間に、刻々と変化しています。私の言葉を読んでくださっている皆さん、どうかあなた方が子どもたちや、その子どもたちに遺していくもののことを考えてください。私たちは今、その遺産を作り出しているのです。皆が一体となり、正しいことを行わなければなりません。

セヴァン・スズキ メールインタビュー(2011年4月4日)