Trailer

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Introduction

時代を越え、ジャンルを越え、名だたるクリエイターに多大なる影響を与え続けている
アンガーの呪術的イメージの集大成「マジック・ランタン・サイクル」がHDリマスター版で蘇る!

『アンダー・ザ・シルバーレイク』の元ネタというべき、ハリウッド黄金期の闇の歴史を暴いた『ハリウッド・バビロン』の著者。アレイスター・クロウリーに傾倒した魔術師。マーティン・スコセッシ、デヴィッド・リンチ、デレク・ジャーマン、R.W.ファスビンダー、デニス・ホッパー、ガス・ヴァン・サント等、数多のクリエイターに影響を与えたアンダーグラウンド映画界のヒーローと、様々な顔を持つ男、ケネス・アンガー。

彼に関わりを持つ人々も、ミック・ジャガーや当時ミックのガールフレンドだったマリアンヌ・フェイスフル、作家のアナイス・ニン、レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジと一筋縄ではいかない。そしてアンガーの作品で重要な役割を担うボビー・ボーソレイユは、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で描かれたシャロン・テート事件の首謀者チャールズ・マンソンの「ファミリー」であり、自身も殺人罪で無期懲役中だ。

近年、 エンパワメントやフェミニズムといった観点からも、”魔女””魔術””オカルト”などが注目されるなか、GUCCIの2019年キャンペーンでアンガー自身がモデルに起用され、アンガーの魔術的な世界は再度脚光を浴びている。現代のミュージックビデオやCMの始祖と言われる鮮烈な映像は、時代を越え、ジャンルを越え、色あせることなく私たちを魅了する。

  • ルシファー・ライジング
  • 快楽殿の創造
  • 我が悪魔の兄弟の呪文
  • 人造の水
  • スコピオ・ライジング
  • K.K.K. Kustom Kar Kommandos
  • プース・モーメント
  • 花火
  • ラビッツ・ムーン

About Kenneth Anger

ケネス・アンガーとは?

ケネス・アンガー

1927年2月3日、カリフォルニア州サンタモニカ生まれ。
ハリウッドで衣装担当として働いていた祖母の影響で、映画や芸術への興味を持ち始め、『真夏の夜の夢』(1936)には、子役として出演。10 歳頃から映画を撮り始め、1947年の『花火』では、ジャン・コクトーやテネシー・ウィリアムズから絶賛された。

その後製作した、『プース・モーメント』(1949)、『ラビッツ・ムーン』(1950)、『人造の水』(1953)、『快楽殿の創造』(1954)、『スコピオ・ライジング』(1964)、『我が悪魔の兄弟の呪文』(1969)、『K.K.K. Kustom Kar Kommandos』(1970)、『ルシファー・ライジング』(1972)の9作品は『マジック・ランタン・サイクル』としてまとめられ、アンガーの代表作となった。1959年、ハリウッドのゴシップを書籍にまとめ『ハリウッド・バビロン』と題してパリにて発行。しかしアメリカでは1975 年まで発行されなかった。

1967年、マンソンファミリーのボビー・ボーソレイユによりフィルムが盗まれたことによって映画製作への意欲を失い、ニューヨークのヴィレッジ・ヴォイス誌に“In Memoriam Kenneth Anger 1947-67” と書かれた自身の死亡記事広告を打つ。その後ロンドンに移り住み、ミック・ジャガーやマリアンヌ・フェイスフル等と出会い、映画製作を続けた。

1982年から1999年まではニューヨークを拠点に、『ハリウッド・バビロン2』(1984)の執筆や世界中の映画祭への出席など、映画製作から離れた生活を送っていた。しかし2000年に入ってからは映画製作に復帰、ショートフィルムの製作を続けつつ、 “光とサウンドの魔術儀式”である「Technicolor Skull」を結成し音楽活動をしたり、ヴァレンティノのショーやミッソーニのキャンペーンへの映像提供なども行っている。

Anger's WORDS

アンガー語録

※『アンガー・ミー』、各作品のオーディオコメンタリーは『マジック・ランタン・サイクル』Blu-rayの特典映像として収録。

私は幼い頃、「真夏の夜の夢」(1935年/マックス・ラインハルト監督)でセリフのない取り替え子を演じた。数週間の撮影はすばらしい体験だった。
「真夏の夜の夢」では超自然的な世界を垣間見た。妖精王のオーベロン、その妃のティターニア、様々な妖精たち。もちろんパックもいた。若き日のミッキー・ルーニーが見事に演じたよ。
神秘主義に魅せられたきっかけは おとぎ話だ。
このような作品から影響を受け、映画でファンタジーをやれると分かった。いつか私も映画を撮るぞと考えるようになった。

<『アンガー・ミー』より>

私がパリに行ったのはジャン・コクトーに会うためだ。
彼が審査員を務めたビアリッツ映画祭で「花火」がポエティック・フィルム賞を取ったんだ。
それで、ジャン・コクトーから手紙をもらった。有名な星マークが入った、すてきな手書きの手紙だったよ

<『アンガー・ミー』より>

生は死と同じくらい神秘的だ。どちらも誰にも解けない謎だろう。恐ろしくて不可解な謎というより興味をかき立てられる謎だ。自分の次の大いなる冒険が死でも構わない。それは新たな挑戦だ。

<『アンガー・ミー』より>

レザーはフェティッシュだ。無意識であるほど惹きつけられる。バイカーのイメージと合うし、私の好きなタイプだ。ファッションアイテムやデザイナーの押しつけでない場合ならね。着飾ることで色気が出る。ファッションではな個性だね。

<『スコピオ・ライジング』オーディオコメンタリーより>

殺人で死刑囚として服役中だったボビー・ボーソレイユが音楽をつけてくれたんだ。
私のミュージシャンは殺人犯の寄せ集めだった。人は道を踏み外すという人間の実態を表している。だが一度 過ちを犯したというだけで私は関わりを絶ったりしない。
もし反省する人間ならね。まったく反省しない人間は害悪だから避けた方がいい。

<『ルシファー・ライジング』オーディオコメンタリーより>

クロウリーは、エジプト神話、ユダヤ神話、バビロニア神話、ヒンドゥー神話をすべてを混ぜ合わせた。すべてが彼にとって1つの壮大な背景となり、“セレマ”という意志の宗教が生まれた。異教の再興と呼べるだろう。キリスト教の罪とは関係ない宇宙への愛だ。私は魔法の力、つまり意志の力を信じている。

<『ルシファー・ライジング』オーディオコメンタリーより>

Anger Me

『アンガー・ミー』

ケネス・アンガー

2006年/カナダ/カラー/ステレオ/71分
監督:エリオ・ジェルミーニ 出演:ケネス・アンガー、ジョナス・メカス
※ケネス・アンガー『マジック・ランタン・サイクル HDリマスター』Blu-rayに収録
『アンガー・ミー』配信

ケネスは本質を突く複雑な人物だ。つまり詩人だよ。
――ジョナス・メカス

2021年2月4日に94歳となったアメリカの実験映画作家ケネス・アンガー。『アンガー・ミー』は、カナダのフィルムメーカー、エリオ・ジェルミーニが2006年に制作したインタビュー・ドキュメンタリーで、ケネス・アンガーが1時間あまりカメラに向かって、幼少期から『スコピオ・ライジング』など自作について語る作品だ。
ハリウッドの著名人たちのゴシップを書いたアンガーの著作『ハリウッド・バビロン』に例えるならば、『アンガー・ミー』はアンガー自身が語る『ハリウッド・バビロン:ケネス・アンガー編』とも言えるだろう。

神秘主義的映像や革ジャンにバイクというハードコアなイメージの映像で知られるアンガーの作品だが、本人は、映画の冒頭でジョナス・メカスが語るように「ケネスのことは、誰もがかなり気難しく、どうしようもない奴だと言っていたが、私が知っているケネスは誰よりも優しくて親切な人だったよ。彼は繊細で知的な天才映像作家だ」というのがよくわかる。

マヤ・デレンらと実験映画の配給会社「クリエイティブ・フィルム・アソシエーツ』を立ち上げた話、ジャン・コクトーに会いにパリに行き、シネマテーク・フランセーズでアンリ・ラングロワに採用され働き始めたこと、そのシネマテークでは収蔵していたエイゼンシュテインの『メキシコ万歳』のフッテージを再編集し、コッポラが所有していた35ミリフィルムを借りて、船のマストに掲げられる旗を赤色に手作業でしたエピソード。ローマに住んでいたときに接したフェリーニ、ヴィスコンティ、パゾリーニの話、『快楽殿の創造』を1958年ブリュッセル万国博覧会で3台の16ミリ映写機を同期させ3面マルチスクリーンで上映したこと。『ルシファー・ライジング』では、ルシファー役にキャスティングし、のちにマンソンファミリーの一員として投獄されたボビー・ボーソレイユと仲違いし、彼にフィルムを盗まれ落ち込み、映画監督をやめようと思った話。その後ロンドンに行き、そこで監督引退の気が変わり、ローリング・ストーンズとBFIの協力で、『我が悪魔の兄弟の呪文』を製作できたエピソード。そして、『スコピオ・ライジング 』がLAのミッドナイトスクリーニングでプレミア上映された際に、劇場に警察が現れ、映写技師と支配人が逮捕され、フィルムが押収されたこと。その後、カリフォルニア州の最高裁判所では公共の場での上映にふさわしいという判決が出て、映画の社会的価値を取り戻し、表現の自由に関しての先駆的な訴訟事件としてその後の映画の表現に影響を及ぼしたことを自らが語るアンガーの映画史である。

インタビューの最後でアンガーはこう語る。
「私は映像詩人だ。コクトーが生み出した流れを喜んで継承する。生は死と同じくらい神秘的だ。どちらも誰にも解けない謎だろう。恐ろしくて不可解な謎というより興味をかき立てられる謎だ。自分の次の大いなる冒険が死でも構わない。それは新たな挑戦だ」

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